1968.05.11
エドランド工業 冨士裏に新工場完成 11日・来賓百人招き竣工式(1968年5月11日 中濃新聞)
以下掲載本文
エドランド工業 冨士裏に新工場完成 11日・来賓百人招き竣工式
有限会社エドランド工業=代表取締役・久保公二氏=は、
昨年八月から関市下有知冨士裏3846-1に同社工場と
独身社員寮を建設中であったがこのほど完成。
新工場で作業開始の運びとなったので、11日午前11時から来賓約百人を招き、
冨士裏工場竣工記念祝賀会を開く。
新工場は、約一万三千二百平方メートルの用地に重量鉄骨平家建工場四棟と、
鉄筋コンクリート三階建の独身社員寮一棟。
工場四棟と独身社員寮は、
●第一棟=六百六十平方メートルに、工場事務所、応接室、倉庫、手入れ室、出荷室、機械室など。
●第二棟=五百平方メートルに研磨工場、食堂、更衣室。
●第三棟=五百平方メートルに、鋳物工場研究室、変電室。
●第四棟=百六十五平方メートルに熱処理工場
また、独身社員寮は、四百六十二平方メートルで、
八畳の和室十三部屋を作り、26人の社員が入るほか、管理人室がある。
総工費は約一億円を投じた。
竣工式は 熔解作業の出湯を見る
一方、竣工式は、来賓約百人を招いて開くが、
まず11時から第三棟の鋳造工場で神事があり熔解作業で出湯を見せる。
また式次第によると、小石需氏の司会で、久保専務の開会の辞、
社長あいさつがあって、工事関係者に感謝状が贈られ、
横畠冨士電波社長の謝辞があって、福岡関市長、渡辺商工会議所会頭らが
お祝いのことばを述べることになっている。
なお、同社竣工式の記念品には「白衣観音」が贈られる。
これは社長久保公二氏の厳父、泉氏が亀泉とそして、
その御姿を殊のほか崇拝し、朝夕念じ鑑賞していた
秘蔵のものを写し心としたもので、三十五センチの円型。
厚さ七㍉の白衣観音である。
鋳物の専門工場 ステンの熔解機設置
エドランド工業の新工場には、
冨士工業株式会社からステンレス鋳物熔(よう)解機(三千五百万円)を
第三棟の鋳物工場に新設した。
同機械は、名古屋に1~2台あるが岐阜県では初めてで、熔解の場合、
①熔解時間が短く、三千度までの高温度熔解が出来る。
②熔湯の攪拌(かくはん)が自動的に行われるので、常に均質の製品が得られる。
③真室中または所望のガス中でも簡単に熔解が出来る。
④不純物や、ガス介入が極めて少なく、製品の純度が高くなる。
⑤ガラス、アルミン、シリコンなど非金属または、半導体の熔解も出来る。
⑥装置は能率よく、操作が簡単で作業が清潔などの利点がある。
量産と新製品開発体制整う
こうした新工場の建設と、ステンレス鋳解機の設置により、
量産体制と新しい企画で新製品の開拓をすることになるが、
同社の過去五年間の生産額を見ると、
38年=六千五百万円
39年=八千万円
40年=九千万円
41年=一億1千万円
42年=一億4千万円
と、順調な伸びを示しており、今年は二億円を予定していることから、
新工場の建設とステンレス鋳物熔解機の設置は、
鋳物の専門工場として大きく前進したといえる。
製品すなわち社名 カン切・センぬきを製造
エドランド工業は、35年の社歴を持っている。
昭和7年、吐月町で故久保泉翁が久保鋳造所を開設、
同19年有限会社として会社組織とし資本金十二万八千円、
同41年に資本金六百万円に増資、
昨年社名を久保鋳造所からエドランド工業と変更した。
エドランドというのは、前社長がはじめて手がけた
カン切りの製品の名称で、製品、すなわち社名とした。
同社はカン切り、センぬきなどを製造、国内が七十%、輸出三十%を出している。
写真説明
写真は、左上から関市下有知冨士裏の
敷地面積約一万三千二百平方メートルに完成したエドランド工業の新工場、
その下が、鉄筋コンクリート三階建、26人の独身社員の入る、独身寮。
その下が、エドランドのカン切り、下が、記念品に贈られる、白衣観音。
右上が、熔解作業をする従業員。
右下が、県下で初めてという、
三千度まで可能なステンレス鋳物熔解機(鋳物工場に設置)
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